7月28日(木)に長野県生協連主催の信州まるごと健康チャレンジ2022キックオフ学習会が開催され、110名以上の参加がありました。
学習会は3部構成で開催されお二人の講師の講演と松本大学の田辺ゼミのみなさんによる運動実践教室が行われました。第1部では広田直子氏(松本大学大学院健康科学研究科/人間兼工学部健康栄養学科教授)を講師にお迎えし、「長野県の健康長寿を延伸させるために~食の課題解決に向けて考えたいこと~」のテーマでご講演いただきました。まず初めに目指すべきは長寿ではなく、健康長寿であると、また健康は手段であり、未来に向かって頑張るための基礎条件であると話され、その健康づくりのカギとなる食の課題を考える大切さがテーマです。栄養不良の二重負荷=『働き盛りの生活習慣病予防と過剰栄養対策』+『高齢期で問題となるフレイル・低栄養対策』という現状があり、長寿県である長野県での食は適切な食事モデルになりうるが、次世代に受け継がれていないことが問題と思われ、松川村での男性の80代と中学生を対象とした調査でその原因が推察される。「沖縄26ショック」という言葉で表現される経済政策の変化による脂質摂取量の変化が、後に成人期の生活習慣病リスクの増大となり平均余命の伸びの低下につながる。長野県でもじわじわと同様の変化が表れている。一方、長野県の特徴として野菜摂取量の日本1位の実績が県民の健康に大きく貢献している事実がある。地物野菜をご近所に配る「お裾分け文化」は健康づくりや地域づくりに大きく寄与しているかもしれない。偉大なるおせっかいは重要なソーシャルキャピタル(社会資源)と言える。健康長寿にむすびついた食事を考える時に、「食事の形」を伝えることが大切だと言える。健康づくりの推進には蜘蛛の巣のような地域のつながりが重要でそのためにはつなぎ役が必要です。地域の資源やつながりに目を向け、これからも大切にしていくことが必要ですと話されました。
第2部では、中島潤子氏(なかじま歯科医院院長/歯学博士/MBA)を講師にお迎えし、「Withコロナ時代の簡単健康法~口呼吸対策に有効な『あいうべ体操とマウステーピング』」のテーマでご講演いただきました。口呼吸と鼻呼吸の違いからご説明いただき、鼻呼吸の効果と大切さそして、日本人の10人に8人は口呼吸を寝ている間にしていると話されました。口呼吸を鼻呼吸に変える方法として、「あいうべ体操」と「マウステーピング」をなかじま歯科医院ではご紹介しているということでした。その患者さんをはじめ、マウステーピングを実践している多くの方々からの事例をご紹介いただき、多くの病気の症状が改善されているとのことでした。花粉症・いびき、無呼吸症候群・夜間頻尿などその他多くの疾患での改善事例があり、マウステーピングは市販のサージカルテープで誰でも簡単に実践できるので、一度関心のある方は試してみてはどうかとのことでした。あいうべ体操やマウステープの実践で健康な人がもっと増えることを願っていますとお話いただきました。
松本大学人間健康学部スポーツ健康学科の田邉愛子ゼミの3年生ゼミ生8名が担当してくれました。いろいろと検討して「認知症予防のコグニサイズ」「筋トレ講座」そして、「ストレッチング」を内容も全部自分たちで考えて実践してくれました。授業の関係もあり、事前にビデオ撮影した動画による運動教室でしたが、それぞれの講座内容は立っている人、座っている人、後ろ向きの人など見ていてもとても分かりやすく、参加者が画面越しで講義を受けながら全員が体を動かして楽しく実施することができました。
参加者からは、「長野県の県民性からひも解く分析が興味深かったです。そして、やはり各家族で過ごしている私にとっては、今後の課題として「食事の形」を子どものために改めて意識していこうと思いました。また、調理作業や会食の機会も意識して実行回数を増やしていきたいと思いました。」「口呼吸での弊害や病状について詳しく知ることができたのは非常に参考になりました。早速今晩から取り組んでみたいと思います。良い結果が出るように継続する努力をしてみます!」「学生さんたちの動画のおかげで、とてもわかりやすく、アングルが前と横があって見やすかったです。デスクワーク多いですが、少しでも体を動かせてよかった。」など、多くの感想が寄せられ、有意義な学習会となりました。
7月22日(金)に長野県生協連主催の憲法学習会が開催され、70名以上の参加がありました。学習会は共催団体として生活協同組合コープながの・長野県消費者団体連絡協議会・NPO法人ながの消費者支援ネットワークの協力を得て開催されました。講師には神奈川県弁護士会所属で湘南合同法律事務所の太田啓子弁護士をお迎えして、テーマ:「憲法とわたしたちの暮らし」でご講演いただきました。
冒頭、「護憲」より「改憲」より「知憲」が大事と述べられ、今後憲法改正の議論が進む中で、「国民投票」が行われた時に、自分の考えをしっかりと持って投票できることが大切。憲法を尊重し擁護する義務は、天皇・大臣・国会議員・裁判官に課せられた義務であり、国民に課せられた義務ではない。国民は国家に憲法を守らせる側の人間であり、法律は国民が守るべき義務であるから、そもそも、憲法と法律は全く別の物である。
かもがわ出版の「檻の中のライオン」という本の紹介から、憲法は国家権力の濫用を防ぐための社会契約であり、立憲主義の根幹となる。自由権と社会権について、自由権は個人の私的領域への国家権力の介入を排除し、個人の自由を保障するための人権で国家からの自由を表す。社会権は社会的・経済的弱者を保護し、それによって自由な人権主体を維持するための人権で国家による自由を表す。国が自助を促すこと自体、社会権を守る義務を放棄することを示す言葉と言えます。この二つの権利はとても大切な権利ですと話されました。
個人としての尊重と人としての尊重の違いについては、政治家の説明の危険な裏側の意味を示して解説いただき、「個人の尊重」と全体主義の象徴である「戦争」とは相反するものであると話されました。自衛隊と自衛権は必要最小限の防衛力であり、自衛隊は必要最小限度を超えていないので合憲。憲法前文では平和的生存権が歌われている重要な文章だが、憲法改正草案ではこの前文削除が示されている。「敵基地攻撃能力」ってそもそも現実的に可能なのか?憲法9条にも国際法上も違憲であるという事実。「もし外国から攻められたらどうするのか?」という論理は矛盾しており、そもそも、ミサイル攻撃を防げる手立ても、攻撃を防げる原発もないのが現実である。緊急事態条項の創設論議を分かりやすく解説すると、緊急事態には檻から飛び出して「檻の中のライオン」が自分で檻の内側から鍵を開けられるような檻に作り替える動きである。憲法を正しく知ることと憲法を国に守らせることは、国民の義務であり、憲法第十二条では「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と規定されており、私たちが主権者として自覚を持ち、檻の中のライオンの動きに関心を持つことが大切であると話されました。
参加者からは、「ずっと、「勉強しなきゃ!」という意識はあったのですが、なかなか実行できずじまいでした。ライオンの例えがとてもわかりやすかったです。基本のキの部分を学ぶことができたので、今後は自分で深めていこうと思います。憲法と法律の役割分担を把握することの大切さを感じました。」、「日常の中で憲法を意識する事も少なく、こういった学習に参加することの機会が無かったので、「知憲」の大切さが解りました。太田先生の説明もとても分かりやすく、自分の住んでいる国なのに知らなすぎたと学習に参加して痛感しました。」、「大事な憲法について、私は全く知らない!と危機感を覚えました。憲法の義務は政府などに向けられた矢印の方向すら分かっていませんでした。 国家権力の濫用を抑えるための檻の役割が憲法。それを熟知している国民は少ないのではないかと焦ります。また、メディア操作なのか政府の意図か国民の無知かは分かりませんが、9条についての正しい知識を持っていない上での論争が多いように思います。そして、それを鵜呑みにしていた自分もいます。」などの感想が寄せられ、大変有意義な学習会となりました。
2022年10月11日(火)14時00分、オンライン会議システムにより第2回医療部会が開催されました。長野医療生協、上伊那医療生協、県生協連事務局を含めて4名が出席しました。
※会議に先立ち参加者全員が一堂に会するのと同等に充分な意見交換ができることを相互に確認しました。
冒頭、部会長の根本賢一専務理事(上伊那医療生協)より挨拶があり、根本部会長が議事を進行しました。
(1)2022年度第1回医療部会報告
(2)2022年度健康チャレンジ実行委員会報告・協同組合フェスティバル2022報告・湯浅誠氏講演会報告
・事務局より資料に沿って報告を行い確認しました。
(1)2022年度の活動計画について
・2022年度下期の部会活動計画について協議を行いました。現在の各生協の状況を共有し、検討の結果、県外視察の計画については相手もあることなので準備を進めることとしました。今後の新型コロナ感染状況を確認しながら実施についての判断を行うこととしました。今後は本荘部会長と事務局にて相談調整を進めることとしました。
4.活動交流
・各会員生協より、2022年度の上期の状況を交流しました。
経営状況・活動内容・活動制限などの状況について交流しました。
次回部会日程 2023年 1 月 10日(火)14:00~ オンラインまたは実参加で開催。
10月2日(土)10時00分~15時30分長野市のながの表参道セントラルスクゥエアにおいて、善行寺表参道秋まつり企画とのコラボレーション企画として「長野県協同組合フェスティバル2022」を開催し、関係者や一般消費者をはじめ8500名と、例年の約4倍もの大勢の方々に来場をいただきました。
このフェスティバルは、長野県生協連も構成団体となっている「長野県協同組合連絡会」のもとに設置された「長野県協同組合フェスティバル2022実行委員会」が主催し、長野県内における協同組合連携の一環として、行政や関係団体のみなさんと一緒に、協同組合の活動を県民に広くアピールすることを目的として開催されました。
開催会場のすぐ隣では9時45分から善行寺表参道秋まつりのオープニングセレモニーが行われ、善光寺木遣りや神輿が奉納されにぎやかな中で、フェスティバルの開会式が行われ、協同組合連絡会の鈴木友子会長が開催のあいさつを行い、フェスティバルがスタートしました。
会場内には、30の団体・企業から36のブースが出展し、「岩手県宮古市かけあしの会」や小谷村・木曽町・栄村の特産品ブース、3つの地元JAの県内野菜、果物の販売、お取引先の取り扱い商品の販売、医療生協のウォーキング教室、県社協のe-スポーツや保育士体験、県内生協の活動紹介や高齢者体験など様々なブースで賑わいました。楽しんで学べる体験コーナーとして、県の健康福祉部の「手洗いチェッカーを使った手洗い体験」、県環境部資源循環推進課の「ゴミ減量のクイズ」、森連の「コースター作り」、長野県農協直販(株)の「牛の乳しぼり体験」その他、県共同募金会・フードバンク信州のフードドライブなど様々な分野での出展がありました。
今年度の協同組合フェスティバルはコロナ禍での開催でもあり、過去の開催では行っていた「試飲及び試食は禁止」という制限での開催となりました。また初めて長野市の中心市街地での開催ともなったことから、当日善行寺表参道秋まつりのために歩行者天国になった中央通りにて、協同組合フェスティバル2022の「広報チラシ」3000枚とお子さん向けに水風船800個の配布を行いながらフェスティバルへの参加呼びかけを行いました。夏のような快晴の晴天と広報の成果もあり終日大勢の来場者で、にぎやかなフェスティバルとなりました。
※善行寺表参道秋まつりは、長野商工会議所・長野商店街連合会・長野市中央通り活性化連絡協議会・ながの観光コンベンションビューロー・SBC信越放送による実行委員会が主催して開催される祭りです。当日は秋まつり参加者は主催者発表で28000人の参加がありました。
※長野県協同組合フェスティバル2022実行委員会の構成団体・組織
長野県農協協同組合中央会、長野県信用農業協同組合連合会、全国農業協同組合連合会長野県本部、長野県厚生農業協同組合連合会、全国共済農業協同組合連合会長野県本部、長野県生活協同組合連合会、長野県森林組合連合会、長野県労働金庫、企業組合労協ながの、ワーカーズコープ信州、こくみん共済coop長野推進本部、生活協同組合コープながの、生活クラブ生活協同組合長野、長野医療生活協同組合、東信医療生活協同組合、上伊那医療生活協同組合、長野県高齢者生活協同組合
10月1日(土)に長野県生協連主催の長野県協同組合フェスティバル2022記念講演会、湯浅誠氏「地域共生社会づくり講演会」~誰もが生きやすい地域と社会を目指して、私たちにできることを学び、考える~を開催しました。110名を超える参加申し込みをいただき、オンライン企画としてYouTubeのライブ配信にて実施しました。長野県協同組合連絡会様の共催、長野県社会福祉協議会様・生活協同組合コープながの様・長野県消費者団体連絡協議会様・信州子ども食堂ネットワーク様・社会的養護出身の若者サポートプロジェクト様のご協力をいただき開催することができました。
冒頭、主催者を代表して太田会長のあいさつ、共催団体を代表して鈴木会長のあいさつの後、湯浅誠氏の講演が始まりました。認定NPO法人全国子ども食堂支援センター・むすびえ理事長で、社会活動家の湯浅誠氏には「こども食堂と私たちの地域・社会」と題して講演をいただきました。最初に、「社会づくり」とは、現在の社会からみんなが「目指す地域社会」への変更であり、今ある地域をより良くする活動と言える。そのよりよい社会(地域共生社会)のイメージを説明されました。相談支援では、相談窓口に来てくれた人に対して「断らない相談体制」や相談窓口に来られない人に対するアウトリーチができているか?の課題がある。次に参加支援では、相談の中で対象者をまるごと受け止めて参加につなぐ支援が難しい、それは8050問題でも80代の要介護の支援で訪問するケアマネが50代息子の支援を含めた対応ができない現状があり、多機関協働の連携がないと1機関・1担当だけでは対応が難しい課題がある。そして、出口支援としては地域づくりに向けた支援として、ニートや引きこもりの場合にはまずは体を動かす場、農作業などの場や就労支援、居住支援などが求められるが、そういう支援もやはり多機関協働の連携がないと支援まで結びつかないのが現状です。そういう地域社会づくりを考える時に、自分の地域はどこに課題があるのか?相談支援か、参加支援か、地域づくりにむけた支援かを考える。「うちの地域には人材がいない」という声をよく聞くがそういう時には「本当にそうなのか?」と3回じっくりと問いかけて考えてほしいとのこと。
次に、地域共生社会のイメージを子ども食堂の場を通して考えてみる。「こども食堂」とはどういう場か?市民が自発的に手弁当で作り上げている場で、現在全国で6000ヵ所以上あり、コロナ禍でも毎年1000ヵ所ずつ増えている活動。高齢者も参加ありが62.7%、参加に条件がないが78.4%、多世代交流が主たる目的が57.8%という場で人をタテにもヨコにも割らない(制限をしない)公園のような場所と言える。誰もが自由に参加して良い場所=わけへだてのない場所です。全世代が自由に参加しても良くて、困っている人や課題を抱えている人をみんなで支える場ではなくて、困っている人や課題を抱えている人をみんなで包み込む場所となっていることが大きな特徴であり、良さとも言える。困っている人を見つける場と言うよりも、あくまでもさりげなく気づいてあげて、安心していられると感じてもらえる場を作ること、つながりを多く作れる場であることが大切とのこと。
どんな地域社会にしたいのか?もっと人と人とが関わり合える地域にしたい!。少子高齢化の中で、何もしなければ自然と毎年1%ずつ地域は寂しくなっていくことが必然、そういう中で、毎年地域のつながりづくり・にぎわいづくりで「密」を2%ずつ増やしていく活動が、地域が「疎」になる大きな流れに抵抗していくことになる。 もう一つの側面として、多世代交流・地域交流型のセーフティーネットとしての機能が認められている。介護予防体操などの対象者であるハイリスク者が集いの場に参加している割合は、二次予防事業への参加者よりも2倍以上多いという事実。さて、【困っている人をみんなで支える地域】を目指すのか?、【みんなの中に困っている人を包み込む地域】を目指すのかのアプローチはとても似ているようで、違いがある。前者ではぶつかる壁は「支えてくれる人が増えない」壁であり、後者では気づきにくい(気づき力をつける)壁であるとのこと。今、自分たちはどちらのアプローチを進めていくのか?を知っておくこと、考えることが大切です。そういうことを考えながら、自組織の地域社会との関り方、活動を見つめ直して考えながら進めていくことが大切であると話されました。子ども食堂の活動を通して私たち自身は何を大切にして地域の課題に向き合っていくのかを改めて考える機会となるとともに、多くのヒントをつかむ機会になりました。