3月7日(月)14時00分から、「災害時に生協ができる支援を考える学習会」がオンライン企画にて開催されました。オフィス園崎の園崎秀治さん(元全社協)を講師にお招きして、『被災者支援の基本と連携・協働による災害支援の進化と課題』と題して、90分の学習会には県内外から45名の参加がありました。
『民間支援のハブ「災害ボランティアセンター」を福祉の専門家である社会福祉協議会が担うようになったわけ』として、被災地での災ボラの意味や役割、様々な災害ボランティア活動の紹介、日常のボランティア活動を災害支援に活かす視点など説明され、生協での普段の仕事が災害支援につながる視点を話されました。また、災害支援の三原則「被災者中心」「地元主体」「協働」についても大切な指針として説明されました。支援団体が広がることで、支援の幅が広がることや、災害ボランティアセンターは法律での定めではなく、各自治体の「地域防災計画」での位置づけであること、行政の施策の一つであることから、行政区域の壁の課題もある。日頃から住民と接している組織の強みを発揮して、社協が災害ボラセンを立ち上げ、運営しているのが現状。
そもそも社協とは何か、平時の地域課題を幅広く担っている社協は災害時には対応する仕事が突然数倍になる。組織の力量を超過した状態が続くのが災害時。その災害時に必要なのは地元で災害対応を支援する組織であり、そこに生協への期待が大きくあるとのこと。実際に災害時に起きることとしては、外部の支援を受け入れる「受援力」が発揮できないという問題が発生する。また外部支援者に向けては、被災地の現地の状況をいち早く情報発信すること、現地の状況を共有することが求められる。また、大切なこととして、平時からの顔の見える関係づくりがあります。災害時に突然、連携だ、協働だと言っても、見ず知らずの組織とうまく連携することは難しい。そのための平時からのつながりが大切になる。
コロナ禍での災害支援の事例として、昨年の熱海市での土石流災害の事例を紹介いただいた。特に災害時の初動での的確な情報発信で、被災地の負担が大きく減り、必要な支援を上手にコーディネートすることができた。また、ITCの活用により、遠隔地からの支援の幅も広がっている。同一県内で複数市町村での災害が発生するケースも増えてくると、県域の役割が増えてくる状況も説明いただきました。今後のアフターコロナの災害VC運営の「三種の神器」として、SNS・ZOOM・キントーンが紹介され、いかに多くの関係者と必要事項を情報共有するかが鍵になるとのことでした。
「ふだんのくらしのしあわせを取り戻すために」として。熊本地震の死亡270名のうち、直接死50名、災害関連死220名という事実や日本の避難所の環境が海外の難民キャンプ以下との評価があるという事実。被災者が一カ月以上暮らす生活環境に、災害関連死の原因の多くがあるとの指摘もされています。避難所には多くの問題があり、生協が支援できることも少なくない。またその中には福祉の側面から支援しなければならない課題もある。
まとめとして、「被災者支援を行う上で重要なポイント」として、再度『支援の三原則』=「被災者中心」・「地元主体」・「協働」について説明いただきました。被災者中心に立ち返り、何のため、誰のための支援なのかを考えること。地元主体の支援を今一度考え、災害時にはその地域の特性や平時の課題も関連することを理解して対応すること。外部からの「あるべき論」は役に立たない。被災者を支えて自立を促す支援が大切になること。改めて「協働」の視点について、対等に主体性をもって動く協働体制になっているか、まず相手を知り自分を理解してもらうことが大切と。【生協への期待】としては、様々な期待や特徴・評価をいただきましたが、「災害時に関わらず、平時から様々な地域課題への取り組みで、協働を更に促進できる組織である点が災害時にも強力な支援者になり得る」と話されました。
最後に、支援者の限界を支援の限界にしないために、より多くの組織の協働の実現で被災者を共に支えていきましょうと呼びかけられました。(★動画公開中★ ⇒ https://youtu.be/6F-n5vm3EIQ )