長野県内の生協のさまざまな活動・事業を紹介します。

活動報告

上期研修会:日生協二村睦子常務理事の講演会『「地域との未来共創」をめざす生協のとりくみ』

  • 2023/07/29

7月4日(火)に長野県生協連主催の上期研修会「日本生協連2030ビジョン第2期中期方針及び協同組合のアイデンティティに関する学習会」を開催し、4生協及び事務局含め37名の参加がありました。講師には日本生協連の二村睦子常務理事をお迎えして、『「地域との未来共創」をめざす生協のとりくみ』と題してご講演をいただきました。

県生協連の太田会長の主催者挨拶の後、JCA(日本協同組合連携機構)作成の「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」について考える動画(16分)を視聴し、二村常務の講演に入りました。

講演では地域づくりの現在地として、1995年に協同組合原則に「7.コミュニティへの関与」が追加され、協同組合は地域を離れられないし、地域の社会や経済を回す存在であるということ。地域活動の様々な実践の中で、明らかになってきたこととして、「行政や地域の諸団体と連携することで、生協の強みを生かして地域の問題の解決につながる」、「連携することで、生協自身が、生協の強みと弱みに気づくことができる」、「連携を通じて、地域の課題やニーズに気づくことができ、新しい事業や活動の種が生まれる」と。

今、民間企業がSDGsの取り組みを含め「生協」っぽくなってきている。こうした企業の動きと私たちを分けるものは何か?「協同組合原則」⇒「私たちはこの原則を生かした生協になっているでしょうか?運営において、事業や活動の実践において、と呼びかけられました。これからの社会やくらしの変化で特に着目しているものとしては、人口減少・世帯数減少・超高齢化に伴う市場縮小と競争の熾烈化。もう一つは、地球環境や社会の持続可能性に迫る危機がコロナ禍やウクライナ情勢により加速化していること。

生協の年代別の世帯加入率では20代~40代で減少している。晩婚化・晩産化・未婚率上昇の影響と考えられる。コロナ禍を経て、生協の食品小売シェアは実は0.3ポイント減少している。第2期中期方針の基調としては、「足場づくり」を強め、次の第3期に向けての「飛躍への一歩」を踏み出すこと。この3年間に上記の環境変化の中で、これらの危機に根本的に対応する変革を起こせなければ、生協の価値を未来につないでいくことは困難になります。ビジョン実現に向けた変革のラストチャンスと話されました。

この変革に関連する事例として全国各地での取り組みをご紹介いただきました。また生協の持つリソースを地域に役立て、行政との協定や災害時の協定は全国に広がっています。福岡県のフードバンク協議会、茨城県の協同組合ネットいばらきのとりくみ、ならコープの「かわかみらいふ」との提携、おかやまコープの道の駅での商品の販売、鳥取県生協の団地自治会が運営する店舗への商品供給、コープぎふの市・公共バスと協働で「貨客混載事業」、コープさっぽろのスクールランチ事業、パルシステムの予備青果のフードバンク等への提供、コープこうべのあまがさき住環境支援事業「REHUL」、大阪いずみ市民生協のまちのリビング「すきいま」、ララコープの「ララ元気ねっと」、いばらきコープの「学校教育に役立つ学習プログラム、コープこうべのちいきつながるミーティングなどご紹介いただきました。

参加者からは「実際の数値で生協の現状を知ることができ、課題が見えてきました。創造性とイノベーションんを発揮することが求められているということで、他生協のとりくみ事例なども参考に「これから私たちにできること」をしっかりと考えていこうと思います。いろいろとヒントになる貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました」など前向きな多くの感想が寄せられました。

(写真:上は学習会の様子、下は講師の二村睦子常務理事)

★学習会冒頭に視聴した「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」について考える動画(16分)は 右記URLからご視聴いただけます。⇒ https://www.youtube.com/watch?v=RIIm7cOXUto