3月2日(木)に長野県生協連主催の「長野県ゼロカーボン戦略学習会」を開催し、4生協及び関係団体から25名の参加がありました。講師の長野県環境部ゼロカーボン推進室再生可能エネルギー係の高橋孝平氏には、「長野県が取り組むゼロカーボン施策について」と題して講演をしていただき、事例報告としては牛澤高志氏(元長野県生協連役員)には「太陽光発電共同購入実践事例」をご報告いただきました。
講演では最初に、なぜ長野県がゼロカーボン施策に取り組むのかのお話をしていただきました。地球の温暖化の現状や特に近年の温暖化速度のアップとその影響として異常気象や大規模災害につながっている現状の説明があり、その後、「長野県ゼロカーボン戦略」の説明がありました。長野県が掲げる数値目標は2030年までに温室効果ガス賞味排出量を6割減、2050年度までに0(ゼロ)を掲げ、その方法として①省エネで7割減+②化石燃料からの転換+③再エネ3倍=④それでも出るCO2は吸収する、と説明されました。特に2030年までが「人類の未来を決定づける10年」と位置付けて、「1交通」、「2建物」、「3産業」、「4再生可能エネルギー」、「5吸収・適応」、「6学び・行動」の6つの重点方針を掲げて、取り組み強化を進めているとのことでした。「交通」では自動車のEV・FCV化や充電インフラの充実を推進する。「建物」では全ての新築建築物のZEH・ZEB化の実現、「学び・行動」では、信州環境カレッジを核として、多様な学びのカリキュラムを展開して、若者を牽引役にした「ゼロカーボン実現県民会議」の始動など具体的にわかりやすく説明いただきました。特に、「再生可能エネルギーを3倍化」では住宅太陽光と小水力発電の徹底普及とエネルギー自立地域づくりの推進などの説明がありました。信州屋根ソーラーポテンシャルマップでは、一人一人の県民が自宅の屋根ソーラーの年間日射量を計算して太陽光発電や太陽熱利用の適合度をWEB上で確認することができるサービスの紹介があり、連動して、太陽光発電パネルの共同購入の仕組み、補助金による支援などの施策を説明いただきました。すべての県民にとって、自分自身の問題ととらえて、未来世代への責任として、まずは学ぶこと、そしてできることからみんなで行動していくことが大事と、協力を呼びかけられました。
後半は事例報告です。報告者の牛澤高志氏が太陽光発電の検討を具体的に始めたきっかけは「県の太陽光発電共同購入制度」を知ったことと、「年金生活になるタイミングでの家計の見直し(固定費の削減)」でした。最初は、HPから「太陽光発電設備等共同購入事業」の事前見積もりからスタートしたそうです。住所、屋根形状、屋根の材質などの入力で、パネル枚数13枚、発電出力4.615kw、1,042,470円との結果。投資回収の見積もりを計算して、蓄電池の見積もりもしたけれど、今回は蓄電池は除外して計画を進めたとのこと。初期投資が100万円強で年間10万円のリターンがあれば、月1万円弱で家計の固定費が削減できると考えて、太陽光発電設置を決定した。詳細工事見積を行い、2021年9月に契約して、2022年3月に工事を行い、3月18日から受電開始となったそうです。現時点では11カ月間の発電量、売電量、売電金額、電気使用量、電気支払い金額、自家消費電気量と推定削減額を計算して詳しく報告いただきました。牛澤宅では投資・改修の視点での評価は、概ね当初見込んだ通りの結果となり満足できるとの評価でした。今後は10年後の電力買取価格が下がるタイミングで、その時の太陽光パネルの状況や蓄電池の技術革新と価格状況なども見ながら蓄電池設置も検討してみようかと考えているとのことでした。毎月の実績数値の報告など詳しいデータもあり、とても分かりやすくて参考になる事例報告でした。
参加者の感想としては「長野県がこれほど環境に力を入れた取り組みをしていると知らなかったので、とても勉強になりました。4年前の台風19号の被災も温暖化の影響があると知り、環境問題は他人事ではなく、自分も考えていかなければならないと思いました。参加してよかったです。」、「太陽光パネルのリサイクルに対する支援も視野に入れていただきたいと思います。」や、「とても細かいデータが出ていて分かりやすかったです。CO 2の削減量も可視化する事でまたエコ生活を楽しみながらできそうだと思いました。」など、積極的な感想が多く、消費者としての生活を振り返る機会にもなりました。