7月9日(火)13時30分からJA長野県ビル12階12E会議室(長野市)において、理事・監事研修会が開催されました。講師には日本生活協同組合連合会渉外広報本部法務部監事監査支援担当の井藤康治氏をお迎えして、5会員生協とJA中央会、事務局を含めて20名が参加しました。
今回の研修会は昨年度の基礎から学ぶ内容から一歩すすめて、生協のガバナンスと監事監査をテーマに企画開催しました。「生協のガバナンスと機関運営」「監事の職務と権限・義務・責任」「監事の活動を考える~4つの視点から~」という内容です。
前半は2時間の講義です。「生協のガバナンスと機関運営」では、生協のガバナンスを組織構造から解説され、監事のポジションの説明がありました。「監事の職務と権限・義務・責任」の部分では多くの時間を使って、詳しく説明されました。監事の職務は理事の職務の執行を監査することですが、理事の職務の執行を監査するとはどういうことか、それは、「理事が善管注意義務を尽くして、健全な生協運営のために忠実に職務を執行しているか」、と「理事がその経過と結果を適正に報告しているか」、を監視し、検証することですと話されました。
監事の善管注意義務の内容については、〇公正不備の態度、〇自己研鑽、〇適正な監視視点、〇意思疎通の確保、〇情報の共有、〇適正な意見形成、〇秘密保持、〇理事への説明、〇監事監査の環境整備について、生協監事監査標準モデルにそって説明し、監事の具体的な権限と義務では特に「報告を求める権限と義務・財産の調査権」と「理事会への出席義務・意見陳述義務」について説明がありました。特に、権限を必要な時に行使することは監事の善管注意義務です。必要な時に行使しなければ、責任を怠ったとして、善管注意義務違反となるので、注意をしてくださいとのことでした。その後、監事の独立性の確保や、監事の法的責任についての説明がありました。その後、釧路市民生協事件(1999年10月29日・札幌高裁)、大原町農協事件(2009年11月27日・最高裁第2小法廷)、弘南バス生協事件(2011年7月発生:裁判にはなっていない)、についてその問題点や監事として注意すべき点などをそれぞれ詳しく解説をしていただきました。
後半は4つのグループに分かれて、講義の感想を交流しあって、それぞれの生協の監事活動について意見交換を行いました。参加者の声としては、「判例を紹介しての善管注意義務についての説明があり、具体的な理解に役立った。」、「生協のガバナンス、機関運営の三角形の表を示していただいたことで、自分の立ち位置がよくわかりました。」、「判決文から押さえておくべき点ということで、まとめられており、大変わかり易く理解できた。」、「監事の善管注意義務について、自己研鑽、フラットな立ち位置、理事会などで不信を持った時、常識的に考えて「おかしい」と思ったとき報告、調査を求める。事前に理事会の議案書を確認する。」などが出されました。