長野県内の生協のさまざまな活動・事業を紹介します。

活動報告

長野県協同組合フェスティバル2022記念講演会 湯浅誠氏「地域共生社会づくり講演会」 ~誰もが生きやすい地域と社会を目指して、 私たちにできることを学び、考える~開催報告

  • 2023/01/06

10月1日(土)に長野県生協連主催の長野県協同組合フェスティバル2022記念講演会、湯浅誠氏「地域共生社会づくり講演会」~誰もが生きやすい地域と社会を目指して、私たちにできることを学び、考える~を開催しました。110名を超える参加申し込みをいただき、オンライン企画としてYouTubeのライブ配信にて実施しました。長野県協同組合連絡会様の共催、長野県社会福祉協議会様・生活協同組合コープながの様・長野県消費者団体連絡協議会様・信州子ども食堂ネットワーク様・社会的養護出身の若者サポートプロジェクト様のご協力をいただき開催することができました。

冒頭、主催者を代表して太田会長のあいさつ、共催団体を代表して鈴木会長のあいさつの後、湯浅誠氏の講演が始まりました。認定NPO法人全国子ども食堂支援センター・むすびえ理事長で、社会活動家の湯浅誠氏には「こども食堂と私たちの地域・社会」と題して講演をいただきました。最初に、「社会づくり」とは、現在の社会からみんなが「目指す地域社会」への変更であり、今ある地域をより良くする活動と言える。そのよりよい社会(地域共生社会)のイメージを説明されました。相談支援では、相談窓口に来てくれた人に対して「断らない相談体制」や相談窓口に来られない人に対するアウトリーチができているか?の課題がある。次に参加支援では、相談の中で対象者をまるごと受け止めて参加につなぐ支援が難しい、それは8050問題でも80代の要介護の支援で訪問するケアマネが50代息子の支援を含めた対応ができない現状があり、多機関協働の連携がないと1機関・1担当だけでは対応が難しい課題がある。そして、出口支援としては地域づくりに向けた支援として、ニートや引きこもりの場合にはまずは体を動かす場、農作業などの場や就労支援、居住支援などが求められるが、そういう支援もやはり多機関協働の連携がないと支援まで結びつかないのが現状です。そういう地域社会づくりを考える時に、自分の地域はどこに課題があるのか?相談支援か、参加支援か、地域づくりにむけた支援かを考える。「うちの地域には人材がいない」という声をよく聞くがそういう時には「本当にそうなのか?」と3回じっくりと問いかけて考えてほしいとのこと。

次に、地域共生社会のイメージを子ども食堂の場を通して考えてみる。「こども食堂」とはどういう場か?市民が自発的に手弁当で作り上げている場で、現在全国で6000ヵ所以上あり、コロナ禍でも毎年1000ヵ所ずつ増えている活動。高齢者も参加ありが62.7%、参加に条件がないが78.4%、多世代交流が主たる目的が57.8%という場で人をタテにもヨコにも割らない(制限をしない)公園のような場所と言える。誰もが自由に参加して良い場所=わけへだてのない場所です。全世代が自由に参加しても良くて、困っている人や課題を抱えている人をみんなで支える場ではなくて、困っている人や課題を抱えている人をみんなで包み込む場所となっていることが大きな特徴であり、良さとも言える。困っている人を見つける場と言うよりも、あくまでもさりげなく気づいてあげて、安心していられると感じてもらえる場を作ること、つながりを多く作れる場であることが大切とのこと。

どんな地域社会にしたいのか?もっと人と人とが関わり合える地域にしたい!。少子高齢化の中で、何もしなければ自然と毎年1%ずつ地域は寂しくなっていくことが必然、そういう中で、毎年地域のつながりづくり・にぎわいづくりで「密」を2%ずつ増やしていく活動が、地域が「疎」になる大きな流れに抵抗していくことになる。 もう一つの側面として、多世代交流・地域交流型のセーフティーネットとしての機能が認められている。介護予防体操などの対象者であるハイリスク者が集いの場に参加している割合は、二次予防事業への参加者よりも2倍以上多いという事実。さて、【困っている人をみんなで支える地域】を目指すのか?、【みんなの中に困っている人を包み込む地域】を目指すのかのアプローチはとても似ているようで、違いがある。前者ではぶつかる壁は「支えてくれる人が増えない」壁であり、後者では気づきにくい(気づき力をつける)壁であるとのこと。今、自分たちはどちらのアプローチを進めていくのか?を知っておくこと、考えることが大切です。そういうことを考えながら、自組織の地域社会との関り方、活動を見つめ直して考えながら進めていくことが大切であると話されました。子ども食堂の活動を通して私たち自身は何を大切にして地域の課題に向き合っていくのかを改めて考える機会となるとともに、多くのヒントをつかむ機会になりました。