長野県内の生協のさまざまな活動・事業を紹介します。

活動報告

医療部会 地域つながりセンター(島根県)を視察

  12月3日(日)~5日(火)の3日間、県生協連医療部会県外視察が行われ、長野医療生協、東信医療生協、上伊那医療生協、長野県高齢者生協、コープながの、事務局から14名が参加し、島根県の地域つながりセンターとそのセンターを支える生協(生協しまね様、松江保健生協様)を視察しました。

4日の朝、地域つながりセンターを訪問。冒頭に高橋玲子代表より有償たすけあいシステム「おたがいさま」の概要と歴史をお聞きしました。2000年の生協しまねのビジョンが土台にあり、「つくりたい人たちが手を挙げて、私たちの「おたがいさま」を作ろう!と、2002年に「おたがいさま」がスタート。生協組織の外に作り、利用が増える中で、利用の組合員枠を外した。枠を外したことで、つながりが広がり、より地域に深く根差した組織になれた。法人格は持たず、任意団体として活動を継続してきた。困った時には運営委員会で何度も話し合い自分たちで決めてきた。目指していることは「弱者の救済」ではなく、困っている人の想いやくらしへの共感を大切にし、その想いにこたえてくれる人と「つなぐこと」に徹する。問題を解決することを目的にしていない。助けてあげたい人につなぐことに集中する。相談が来てコーディネーターが最初に訪問するときに、「おたがいさまの考え方」をしっかりとお伝えして理解してもらうことを大切にして運営している。この点がとても大切なことだと感じました。

依頼が増えてくると、介護保険の隙間を埋める事例が多くなり、何でも「おたがいさまに下請けに出す」感覚で依頼や紹介が来るが、「安く使える便利屋さん」にならないように、ケアマネさんに「おたがいさま」を理解してもらえるように努力することが大切とのこと。日頃の話し合いの場から生まれた共同の活動として「なないろ食堂」のご紹介もありました。JA・生協・保健生協・松江市社協・大学生が一緒に「子供たちを核にした地域づくりを県社協のモデル事業として取り組んでいます。

4日の午後、松江保健生協を訪問し、病院など施設見学をさせていただきました。その後、幅広い活動のご紹介をいただき、懇談をしました。病院内には地域連携室があり、ケアマネジャーやケースワーカーなど総勢20人の体制で活動していて、「おたがいさま」を紹介して利用してもらう事例も多いそうです。

5日の午前に生協しまねを訪問して、石原副理事長、大木専務よりお話を伺い懇談しました。「おたがいさま」は生協しまねのビジョンの具体化、方針のなかから生まれた活動ですが、生協しまねと「おたがいさま」との間には特別な関係や決め事はありません。地域で「おたがいさま」を作りたい人が「おたがいさま」を作り運営するのです。ですから2002年に「おたがいさま いずも」が誕生してから、2015年に「おたがいさま 益田」ができるまでに10数年かかっています。各「おたがいさま」が運営委員会で論議をして全体運営から財政的なこと、利用料、応援料、コーディネーターや運営委員の活動費なども自分たちで収支を検討して金額を決めています。ですから「おたがいさま」と生協しまねは全く別の独自の組織ということになります。その他、地域つながりセンターでは「あったか地域づくり協議会」の取り組みなどのお話も伺い、生協組織とは別の組織であるがゆえに、地域の諸団体や行政とも広く深くつながっていることも教えていただきました。

今回の視察では相談役の毛利敬典氏、島根県農業協同組合くにびき地区本部の田中鈴夫氏、島根県社会福祉協議会の地域福祉部の岩﨑正志氏など幅広いみなさんとも交流させていただき、本当に地域つながりセンターが地域に広く根を張っていることを学ぶことができ、とても充実した視察研修となりました