1月24日(月)13時30分からオンラインにて、「長野県ゼロカーボン戦略学習会~長野県の環境戦略と私たちのくらし~」をオンライン企画にて開催しました。長野県環境部環境政策課企画係の高橋晴彦主査を講師にお招きして、「2050ゼロカーボン実現に向けた長野県の取組」と題して講演をしていただき、約50名が参加しました。
講演では「なぜ世界はゼロカーボンを目指すのか」、「長野県が気候変動に向き合う理由」「長野県ゼロカーボン戦略」「ゼロカーボン実現に向けた長野県の事業」の4つのお話がありました。
なぜ世界はゼロカーボンを目指すのかという事については、近年(過去50年~100年の間)地球の歴史上急激なCO2濃度の上昇とそれに伴う気温上昇により、海面上昇や異常気象が頻発しているとのことで、無視できない緊急事態であるという事でした。
長野県が気候変動に向き合う理由としては、過去100年の平均気温の上昇幅が全国平均よりも高く、温暖化の影響による日本付近の海水温上昇による台風の大型化、その台風による甚大な被害(2019年の台風19号災害)を受けている現状がある。2003年から地球温暖化防止県民計画を策定し、2019年には全国初となる都道府県としての気候非常事態を宣言し、宣言の中で「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロを決意した経過があります。
長野県ゼロカーボン戦略のポイントとしては、基本目標として「社会変革、経済発展とともに、実現する持続可能な脱炭素社会づくり」を掲げ、数値目標としては「二酸化炭素を含む温室効果ガス正味排出量を、2030年度6割削減、2050年度ゼロを目指す」を掲げています。(※ゼロとは、排出量と森林吸収量のプラス・マイナスで実質ゼロを目指すということ)2050ゼロカーボンの実現のためには、省エネで7割減、ガソリンから電化と再エネ3倍へ拡大、そして森林による吸収効果で実現を目指しています。より具体的な目標としては、2030年までの重点方針として、交通分野での自動車のEV化促進策として充電インフラの充実や、建物分野では新築建築物のZEH・ZEB化や信州型健康ゼロエネ住宅の促進を、再生可能エネルギーの拡大としては、住宅太陽光と小水力発電の徹底普及を、学びと行動の分野では信州環境カレッジを核に学習機会を広げ、若者を牽引役に「ゼロカーボン実現県民会議(仮称)」を始動している。その他、産業分野や吸収・適応についても計画を持って推進している。
ゼロカーボンに向けた長野県の事業について、それぞれの分野別の方針に基づいて具体的な計画を説明していただきました。それぞれの分野別目標値と具体的な計画には、「県民への行動提起」が明記されています。交通手段としては、家の車の2台に1台は電動車に。建物では、住宅新築時にはZEHを選択する。費用は400~500万建築費が増加するが、年間光熱費は30万削減され、約17年間で回収できる。その上ヒートショックやアレルギー性鼻炎などのリスク軽減で健康寿命延伸にもつながるなどのデータ提供も行い、各種助成制度も拡充している。再エネ分野では、長野県のHP上でソーラーポテンシャルマップを公開し、各個人のお宅の屋根にソーラー発電をした場合の想定される効果を見える化してソーラー設置の支援につなげている。各種普及事業も実施しており、既存住宅エネルギー自立化補助金、信州の屋根ソーラー事業者認定制度、グループパワーチョイス(共同購入)などを進めている。
地球温暖化への課題や農業や観光業にも深刻な影響を与える上に、災害の規模や頻度の面でも私たちの一人ひとりのくらしにも多大な影響を及ぼす問題であり、一人ひとりの暮らし方の変革が大きく問われていることを強く感じる時間となりました。