長野県内の生協のさまざまな活動・事業を紹介します。

活動報告

憲法学習会を開催しました!

  • 2023/01/06

講師の太田啓子弁護士

7月22日(金)に長野県生協連主催の憲法学習会が開催され、70名以上の参加がありました。学習会は共催団体として生活協同組合コープながの・長野県消費者団体連絡協議会・NPO法人ながの消費者支援ネットワークの協力を得て開催されました。講師には神奈川県弁護士会所属で湘南合同法律事務所の太田啓子弁護士をお迎えして、テーマ:「憲法とわたしたちの暮らし」でご講演いただきました。

冒頭、「護憲」より「改憲」より「知憲」が大事と述べられ、今後憲法改正の議論が進む中で、「国民投票」が行われた時に、自分の考えをしっかりと持って投票できることが大切。憲法を尊重し擁護する義務は、天皇・大臣・国会議員・裁判官に課せられた義務であり、国民に課せられた義務ではない。国民は国家に憲法を守らせる側の人間であり、法律は国民が守るべき義務であるから、そもそも、憲法と法律は全く別の物である。

かもがわ出版の「檻の中のライオン」という本の紹介から、憲法は国家権力の濫用を防ぐための社会契約であり、立憲主義の根幹となる。自由権と社会権について、自由権は個人の私的領域への国家権力の介入を排除し、個人の自由を保障するための人権で国家からの自由を表す。社会権は社会的・経済的弱者を保護し、それによって自由な人権主体を維持するための人権で国家による自由を表す。国が自助を促すこと自体、社会権を守る義務を放棄することを示す言葉と言えます。この二つの権利はとても大切な権利ですと話されました。

個人としての尊重と人としての尊重の違いについては、政治家の説明の危険な裏側の意味を示して解説いただき、「個人の尊重」と全体主義の象徴である「戦争」とは相反するものであると話されました。自衛隊と自衛権は必要最小限の防衛力であり、自衛隊は必要最小限度を超えていないので合憲。憲法前文では平和的生存権が歌われている重要な文章だが、憲法改正草案ではこの前文削除が示されている。「敵基地攻撃能力」ってそもそも現実的に可能なのか?憲法9条にも国際法上も違憲であるという事実。「もし外国から攻められたらどうするのか?」という論理は矛盾しており、そもそも、ミサイル攻撃を防げる手立ても、攻撃を防げる原発もないのが現実である。緊急事態条項の創設論議を分かりやすく解説すると、緊急事態には檻から飛び出して「檻の中のライオン」が自分で檻の内側から鍵を開けられるような檻に作り替える動きである。憲法を正しく知ることと憲法を国に守らせることは、国民の義務であり、憲法第十二条では「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と規定されており、私たちが主権者として自覚を持ち、檻の中のライオンの動きに関心を持つことが大切であると話されました。

 参加者からは、「ずっと、「勉強しなきゃ!」という意識はあったのですが、なかなか実行できずじまいでした。ライオンの例えがとてもわかりやすかったです。基本のキの部分を学ぶことができたので、今後は自分で深めていこうと思います。憲法と法律の役割分担を把握することの大切さを感じました。」、「日常の中で憲法を意識する事も少なく、こういった学習に参加することの機会が無かったので、「知憲」の大切さが解りました。太田先生の説明もとても分かりやすく、自分の住んでいる国なのに知らなすぎたと学習に参加して痛感しました。」、「大事な憲法について、私は全く知らない!と危機感を覚えました。憲法の義務は政府などに向けられた矢印の方向すら分かっていませんでした。 国家権力の濫用を抑えるための檻の役割が憲法。それを熟知している国民は少ないのではないかと焦ります。また、メディア操作なのか政府の意図か国民の無知かは分かりませんが、9条についての正しい知識を持っていない上での論争が多いように思います。そして、それを鵜呑みにしていた自分もいます。」などの感想が寄せられ、大変有意義な学習会となりました。