3月11日(月)に信州まるごと健康チャレンジ2023実行委員会(長野県協同組合連絡会)主催で、「健康チャレンジ結果報告の学習会」を開催し、100名の参加がありました。講師の松本大学人間健康学部スポーツ健康学科の田邉愛子准教授には、「農業と健康づくり、と信州まるごと健康チャレンジ2023の結果報告」と題して講演をしていただき、運動教室では田邉ゼミの学生のみなさんに「フレイル予防のための効果的な運動実践方法」をテーマに、動画による運動教室を実施していただきました。
講演では、田邉先生ご自身もゼミの学生さんたちと健康チャレンジを実施された内容をご紹介いただき、その後6年間の信州まるごと健康チャレンジの結果報告の分析内容を詳しく解説していただきました。県内4つの地区の参加割合では北信地域の参加者が多いこと、年齢の分析では今年は80歳代と90歳代が過去最高の参加人数だったとのこと。9つのコースの中では一番人気のコースは「運動習慣」で22%、次に「マイチャレンジ」が14%、第3位は「バランスの良い食事」が13%と例年同様な結果が出ています。コロナ禍で増えてきたのが「だれかとおしゃべり」で、社会参加への意識の現れでもあると感じます。2018年度の数値と比べると全ての項目でほぼ2倍~3倍の参加者割合になっています。毎年実施する中で、多くの人が二つ以上の項目にチャレンジしています。達成率は前年同様90%近く、多くの人がほぼ毎日実施しており、習慣化している人も多いです。アウトカムの検討結果としては、フレイル予防の視点で分析対象を60歳以上に絞り分析した結果、健康チャレンジの実施による優位性は明確な数値結果ではないが、概ねポジティブな効果があると言えそうとのことでした。一方、自由記入欄から読み取れることとしては、『目標にして、継続の努力、続けられました、10kg減量しました、定期的なメールで継続できます』などの言葉が多く、とても前向きでポジティブな言葉が聞かれています。
「農業」と健康づくりという点では、農業従事者の方が高齢期に健康であるという結果でした。また趣味で家庭菜園などの農業をしている人としていない人とでは、高血圧・糖尿病・高尿酸欠病の比率が低く、緊張や不安感が低いとの結果となった。農業実践者の方が、「生きがい」や「喜びや楽しみ」を感じている人が多い。また、農作業実践者の方の方が、地域の人たちとのつながりが強いという結果でした。農業を通じて元気になれる街づくりにつなげていける希望が感じられるお話でした。
後半のフレイル予防のための効果的な運動実践教室では、田邉ゼミの学生さんたちの元気ではつらつとした動画にいっぱい元気をもらうことができました。コグニサイズの意味はコグニッション(認知)とエクササイズ(運動)を組み合わせたもので、運動することによって体を健康に保ち、同時に脳の活動を活発にして、認知症の発症予防や遅延、改善させることを目的にしたものです。簡単なようでなかなか難しい、本当に頭を使いながら体を動かすセッションでした。続いて筋トレです。転倒予防を目的とした筋トレを楽しく行いました。それぞれの部位を鍛えながら日常の運動のいつ使う筋肉かを説明していただき、目的を意識しながら、みんなで画面越しに筋トレをすることができました。椅子に腰かけながらでも実施できる内容で、うっすらと汗ばむ内容に、みんなで体を動かした満足感を感じることができる楽しい時間となりました。
参加者の感想としては「健康チャレンジへの取り組みが、日常的に運動を始めるきっかけになっている」、「講演を聞いて健康チャレンジの取り組みをして良かったと実感した」、「来年も頑張りたい」、「家庭菜園を始めてみようかなぁ」、「加齢による速筋の衰えを予防したい。そのため、運動習慣の継続が大事だと思いました。」など、積極的な感想が多く、ともて充実した学習会となりました。
ご講演には触れられていませんでしたが、集計数値からは、健康チャレンジ実施で「効果があった」との回答が全体の63%、「終了後も継続したい」との回答が97%、「来年も参加したい」との回答が94%と高い数値となっていました。