長野県内の生協のさまざまな活動・事業を紹介します。

活動報告

イタリア式避難所システムをもとにした実動訓練実施!

  • 2025/03/31

3月21日(金)に長野県災害時支援ネットワーク・長野県社協・避難所避難生活学会・(株)シェルターワンの4者が主催をして、日本で初めてとなる『イタリア式避難所システムをもとにした実動訓練』が、諏訪市諏訪湖イベント広場で開催され、約250人が参加しました。長野県生協連は主催者の立場で中谷事務局長が参加しました。生活クラブ生協長野からも参加がありました。20日(木)午前5時47分震度7の地震発生の想定で、伊那市から資機材一式を諏訪湖に運搬して事業者や支援者が協働で20日(木)の18時にはイタリア式避難所システムの設置を行いました。坂井学内閣府特命防災担当大臣も視察に来られ、私たちとの懇談の機会もありました。

イタリア式避難所システムの特徴としては、被災地の外から被災地に駆けつけて避難所を設置し、ボランティアが運営を行うことで、被災地に負担をかけないことがあります。もう一つは、被災者用キャビネット・食堂・セントラルキッチン(今回はキッチンカー4台で代用)、トイレ・シャワー・洗濯機等一式まとめて設置をしている点です。日常生活に少しでも近い環境で温かい食事の提供ができる避難所です。イタリアには「災害関連死」という言葉がありません。このような避難所が全国で運用されているために、災害関連死という言葉が存在しない国なのだと思われます。

21日(金)は8時30分から受付開始。県内外から多くの参加者が集合しました。参加者は関係団体を含めて全体で250人です。支援者役の参加者は9時集合。第1回全体会議でオリエンテーションを受けます。今回の実動訓練の意味と目的を共有します。今回の実動訓練は日本で初めてとなるイタリア式避難所システムの実動訓練ですから、実施することに大きな意味があります。目的としては、実施してもっと日本での災害時に役立つにはどういう改良・改善が必要か、課題点を多く見つけることが大きな目的となります。参加者は『食支援班』『福祉支援班(福祉避難所・災害ボラセン)』『子ども支援班』『在宅避難者支援班』に分かれて、参加します。

10時から第2回全体会議。支援本部設置を宣言し、全体方針を決定。全体情報共有会議を開催し、支援班ごとにこれからの行動予定を報告し合います。その他、課題や心配事も共有します。同時に別会場では約100人の被災者役としての参加者の説明会を開催します。実動訓練の趣旨と目的を共有し、4つのグループに分かれて、イタリア式避難所システムの見学会を開始します。11時から被災者支援調整会議(支援リーダー会議)を開催します。各支援班の支援活動進捗状況を報告し合います。要配慮者への食支援での特別食対応、アレルギー対応、福祉支援班からは外国籍被災者との通訳の支援、妊婦への対応など、子ども支援では幼児がテントを怖がって中に入れない、子ども支援があることの周知が必要なことなど、個々の課題についてすぐに解決できるものと、行政(県や市)・国への要請事項などを整理して、今できる支援や情報の共有を進めていきます。

今回の実動訓練の目玉は食事支援の実食です。食堂で給仕付きの昼食を全員に味わっていただくことです。合計250食をキッチンカー4台で分担し、遠距離での調理支援も含めて、2月に実施した給食訓練の成果も生かして、県立大学の稲山先生やゼミ生も参加して約30名のボランティアとともに食事の提供を成し遂げました。メニューの確認や大盛り・小盛りの対応まで野菜たっぷりで栄養バランスの取れた温かい食事とあったかいお茶に訓練参加者の誰もが一時くつろぎの時間を過ごしました。13時30分からは、2回目の支援調整会議と残課題の整理をしました。ここまでの実動訓練の中で、様々な初めてのチャレンジがあり、イタリア式避難所システムに福祉支援を協働で行う長野モデルとしての形が見えてきた気がしました。各主催者が挨拶と感想を述べあい、多くの課題が見つかったことが成果として共有され、今後も継続した訓練とブラッシュアップを確認しました。