11月25日(金)、オンライン企画(Zoomのライブ配信)にて、「第52回長野県消費者大会」が、「平和で豊かな未来のために私たちができること」~SDGsのゴールとの関わり=私たちの課題~をテーマに開催し、60名がアクセス、県下各地にてご参加(視聴)頂きました。
冒頭、司会の県消団連の藤綱みどり幹事(長野県労連)の開会あいさつの後、鵜飼照喜会長より主催者挨拶があり、2人の講演者からのお話をお聞きして学びました。
最初に「共にいきるとは何か~入管問題、家族の歴史から考えた多様性~」と題して、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんからお話をお聞きしました。高校生の時に「国境なき子どもたち」のレポーターに参加し、トラフィックドチルドレン(人身売買の被害者など)に出逢う。それは自分自身にとって世界の子どもたちの問題が自分事となる瞬間だった。人との出逢いは「人を変える大きな力」になる。8900万人=世界で避難生活を余儀なくされている人(2021年末)で、現在はウクライナでの戦争が始まり、その数は1億人以上となっている。ウクライナを訪れたときに、平和な普通の暮らしからある日突然、家も家族もペットも奪われる現実がある。テレビ等では〇〇軍がミサイル攻撃をしたという報道になるが、住民が主語にはならない。そのことがテレビの向こう側の話、自分事として受け止めにくい原因でもある。また、シリアは景色が美しく、とてもやさしい国民性で大好きな国の一つで何度も訪問しているが、2011年に突然戦争が始まり普段の平和な暮らしが奪われた。あたりまえの幸せ、あたたかな日常生活が突然奪われるのが戦争。一方、私たちの国、日本はどうか?74人=これは、2021年の1年間に日本国内の難民認定の数。日本では難民申請した人の0.6%しか認定されない。国際社会からも改善勧告が何度も出されている。2021年3月6日に入管施設でウィシュマ・サンダマリさんが死亡した。十分な医療を受けられず衰弱死した事例は、私たちの住んでいる国日本での出来事。最後に、安田さんは自分自身の家族の話をされました。戸籍を見る機会があり、初めてお父さんが在日韓国人2世だったことを、お父さんがなくなってから知った。父が語らなかった歴史を辿って、改めて社会の矛盾やおかしさに気づいたと話されました。私たち自身が日常の暮らしの中で、社会の中の「これっておかしいよね?」という声を広げたり、商品選択の時にその商品の背景、原材料の背景にも思いを寄せて買い物をするそういう行動で社会を変えていく事にもなることを知ってほしい、広げてほしいとお話されました。
次に「生きづらさを打破するために、私たちは地域でなにができるか?」と題して、社会活動家の藤田孝典さんからお話をお聞きしました。年間800件以上の生活困窮の相談を受け、個人のSNSなどでは匿名の相談を含めて年間2000件以上の相談があり、外国籍の人や若者からの相談も多い、特に若年層の貧困拡大や若者の自殺の増加など社会の構造的な問題を感じることが多くある。子どもの貧困が広がる中で、それを支える大人が広がらない問題がある。再分配ができる社会にするために何が必要か?何ができるかを考えたい。生きていくための制度として「生活保護制度」がある。しかし、自分が貧困なのか自覚がなくてわからない。平均所得の半分以下の年収は「貧困層」と位置付けられ、年間所得が減少しているけれども貧困率が下がらない、高止まりの状態が続いている。格差が広がっている現状がある。生活保護を申請する人には「人の世話になりたくない」、「人に迷惑をかけたくない」という意識があり、生きるための権利である「生活保護制度」から遠ざけてしまっている。イタリアやスペインは子どもの貧困率は日本よりも高い。しかし、イタリアやスペインでは協同労働や大規模な子ども食堂やフードパントリーの活動が広がっていて、貧困家庭の生活を支える活動が社会に多くある。そういう動きが脱商品化として今後日本でももっと広げていくことで低所得者でも生活できる地域を作ることができると考えている。貧困対策として現金給付には限界がある。現物給付や再分配・脱商品化で貧困層を支えるモデル地域の取り組みを広げていきたいと考えている。
最後に、長野県消団連の清野みどり副会長(コープながの)より御礼とまとめの挨拶を行い閉会としました。