長野県消費者団体連絡協議会は5月15日(月)に、上田長野地域水道広域化についての学習会を開催し、幹事・事務局13名が参加しました。学習会は定例の幹事会の冒頭の時間を使って行われ、長野県企業局水道事業課より清水稔企画幹、加藤由理香企画幹兼課長補佐、橋部太一課長補佐の3人をお招きして説明・講演と質疑応答が約1時間に渡って行われました。
【水道法改正(R元年10月施行】現状の課題と改正法について説明があり、水道事業は拡張整備の時代から基盤強化と広域的な連携の推進と事業統合へシフトチェンジの時代へ移行していく。
【水道広域化推進プラン】国(厚生労働省)の基本方針は、施設の計画的な更新、健全な経営、人材確保、広域連携の推進である。長野県水道ビジョンおよび水道広域化推進プランを2022年3月末に作成。今後の将来に向けてのシミュレーションによる予測をし、中長期的な方向性を示す。基本理念=『人口減少社会の中でも安心・安全な水道水を届ける』。基本目標=①「持続可能な水道事業経営」、②「災害に強い強靭な水道の構築」、③「安心・安全な水道水の供給」を掲げている。長野県における広域連携の方向性としては、「財政の改善効果、専門性の高い人材確保、施設整備、管理業務や災害対応など事業運営体制強化、などを考慮して、圏域単位の事業統合が望ましい」とのこと。今後、一部の事業者の事業統合を先行実施し、その後圏域内の事業者との事務の共同化、技術面・人材面での協力連携につなげる。該当圏域は佐久、上田・長野、上伊那、松本とする。
【長野県企業局の水道事業】事業概要と水道事業の沿革の説明があった。
【水道事業の現状と課題】「けんえいすいどう」の広報誌によって、今後の人口減少および給水量の減少や施設・配管の整備、水道料金の値上げ、人材確保などが課題として挙げられています。水道事業の広域化により国からの補助金を活用できることを説明。
【上田長野地域研究会の協議について】現在、上田長野地域水道広域化研究会にて、広域化の運営形態などを具体的に研究して、様々なシミュレーションを行っている。また、関係する水道事業者の財務状況・施設の老朽化、施設整備状況などを含めて情報を共有している。令和3年から活動を進め、令和4年9月に第5回広域化研究会を開催し、令和5年には議会や住民などへの説明・意見交換の予定とのこと。今後の水道料金の推移見込みの説明もあり、将来値上げせざるを得ない水道料金ではあるが、広域化や国の補助金活用により多少抑制できる見込みであるとのことでした。
https://www.pref.nagano.lg.jp/kigyo/infra/suido-denki/suido/kouikika.html ※長野県のHPに会議資料公開
【安心・安全な水道水を届けるための検討について】事業統合を協議するために長野市、千曲市、坂城町、上田市のそれぞれでの単独事業継続と事業統合での運営での比較検討を実施して、現状の課題とともに、事業統合の運営イメージを整理して、今後住民説明会や意見交換会を進めていく。
【質疑応答】
消:事業統合など大きな公共事業が必要になると大きな費用が掛かる。誰が負担するのか?今後水道料金は上がるのか?
県:事業統合すると施設整備の事業費については国から1/3の費用補助が得られ、このままの事業継続と事業統合とで水道料金の比較検討をしている。いずれにしても人口減少の中での水道事業の推移をみると値上げとなるが、事業統合により値上げ幅を抑制できる。
消:広域化はやむを得ないと思うが、民営化を心配している。また、現在の水道料金の格差はどうなるのか?核施設の老朽化の状況の違いも気になるがどう考えているのか?
県:民営化は全く想定しておらず、協議の議題にも上がっていない。水道料金の格差はあるが、今後の推移の中で、料金統合を進めていく予定。単独継続でも値上げは必要となるので、値上げのタイミングを合わせて、料金統合につなげていく予定。施設の老朽化も格差がある、財務状況も格差がある、それぞれの事業体の財務(留保資産、借金や債務、老朽化の程度など)のいろいろな指標や数値を共有化して、今後の方向性を協議検討していく。まだ、これからのことは未定であり、今後の協議次第である。
消:中山間地では人口減少や過疎化が進んでいる。過疎化が進む地域の水道事業の維持・継続は可能なのか?
県:給水継続が厳しいエリアはある。施設のダウンサイジングやサテライト給水システム、最後の手段だが運搬給水など今現在、正解がない。給水の義務(責任)があることを受け止め、同時に受益者負担も考えて今後検討していくことになる。いずれにしても今後の協議次第であるが、県民や消費者の理解と協力が重要になる。今後ともお互いに情報交換しつつ、消費者団体にも協力をお願いしたい。