生活・自然・まちづくり。感じた想いを綴ります。
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明けましておめでとうございます。
会員生協の皆様が地域の組合員・消費者のくらしを支えるため日々努力をされていることに、敬意を表します。
さて、本年は、東日本大震災・長野県北部地震から4年目を迎えます。県連では、2011年の震災発生以降、長野県栄村をはじめ福島県、宮城県の被災地を訪問する中で、会員生協と共に様々な支援活動を進めてきました。昨年7月には、福島の子ども保養プロジェクトを栄村(秋山郷)で開催し、福島県の被災地の子どもたちに秋山郷でのキャンプなどの自然体験を通してリフレッシュの場を提供しました。栄村で企画することにより栄村の支援活動にもつなげることが出来ました。
今後も、被災地の復興支援の取り組みを継続して進めます。各方面からのご協力を賜りますようお願い申し上げます。
今日、一部に景気回復の兆しは見えるものの、消費税率や社会保険料の引き上げ、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)によるグローバル化の進展、電気料金の値上げ、また、雇用不安や急激に進行する少子高齢化によって、将来の暮らしに対する不安が、私たちに大きくのしかかっています。こうした中、安心して働き、安心して暮らし続けられる地域社会を実現していくために、協同組合に求められている社会的な役割を多いに発揮されることを期待します。
本年は、県連の「第12次中期3カ年計画(2014年~2016年)」の初年度にあたり、県連の3つの役割「①会員活動の支援及び交流・連帯の促進、②活動条件整備のための行政への働きかけ、③社会的認知を向上させる渉外・広報の強化」に沿って、県連が果たすべき役割をきちんと認識し、会員生協に寄与するための活動を進めてまいります。
厳しい岐路に立たされ、その存在意義が問われる中で、県内の生協が「自立と協同の原則」に基づき、より一層の連帯を強めて行くことが求められています。
会員生協の組合員・役職員の知恵と力を寄せ合って、地域の人々と共に、生協活動の輪をひろげるよう頑張ってまいりましょう。
2014年1月1日
長野県生活協同組合連合会
会長理事 上田 均
明けましておめでとうございます。
各会員生協の役職員の皆様が、組合員のくらしを支え、地域に根ざした活動に日々奮闘されていることに深く敬意を表するものです。
昨年は国連が定めた「国際協同組合年」の年として、県内の各協同組合及び関係する11の団体で「IYC長野県実行委員会」を構成し様々な取組みを進めました。7月に「シンポジウム」を開催するとともに、9月には、はじめて各協同組合が一堂に会した「協同組合フェスティバル」を開催し12,000人を上回る方々にご来場をいただくことができました。また12月には、信州大学経済学部において「協同組合の現在と未来」と題する連続特別講義も開講することができました。こうした取組みを通じて県民の皆様に広く協同組合の存在とその活動を知っていただくことができたと思います。
協同組合は、その原則にもあるように「共通のニーズを自らの事業を通して実現していく組織」です。そして、事業活動をするなかで大きな社会的責任をもっています。ひとつは「社会に悪い影響を与えないこと~最小限にする努力をすること」であり、自然共生・低炭素・循環型社会の実現に向けての取組みがこれに該当します。もうひとつは「組織の強みを用いて社会の問題の解決に資すること」です。コミュニティへの関与、地域社会づくりなどがこれに該当します。しかし経済的能力には限界がありますし、得意分野と不得意分野があります。だから互いに協同することが必要なのだと思います。
国際協同組合年にあたり、「協同組合の意義や役割」を広く社会へ発信する、言ってみれば「ソト」に向けた取組みを進めるなかで、私たちはあらためて「協同することの意義」(協同組合間提携の意義)を内部的にも確認できたのではないかと考えます。
私たちのくらしは、東日本大震災の甚大な自然災害、それにともなう大規模な原子力発電所の事故、そしてグローバル化の進む社会や経済の動向に大きく影響を受けています。人口減と高齢化は進んでいます。家計の状況はより一層厳しくなっており、食品の安全性だけでなく利便性や価格に対しても期待が高まっていることは日生協が実施した「2012年度全国組合員意識調査」でもはっきりと示されています。
過度の市場原理主義が行き詰まるなかで、人と人とのつながりを基本とする「協同組合の存在意義」が今ほど求められていることはありません。その期待に応え、くらしの変化に応え、長野県になくてはならない存在として、今以上に様々な分野・切り口で社会的な貢献を進めていくためには事業と活動の革新を進めていかねばなりません。そのことを念頭に、地域の人々と連携し、各会員生協の組合員・役職員の知恵と力を寄せ合って課題を克服し生協活動の輪を拡げるよう努力していきましょう。
2013年1月1日
長野県生活協同組合連合会
会長理事 上田 均
この度の長野県生協連第61回通常総会及び同日開催の理事会におきまして、会長理事に選出されました。
清水邦明前会長理事は、多年に渡り県生協連活動の発展に貢献されました。その後を受け、身の引き締まる思いですが、清水邦明前会長理事同様ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
さて、国連は2012年を国際協同組合年と定め、協同組合の一層の振興を提唱しています。このことは、経済のグローバル化が財政破綻や貧困、格差を拡大させる現在の国際社会の中で、共助の組織としての協同組合の役割がより重要になっていることを示しています。
協同組合のアイデンティティに関するICA声明にあるように、協同組合は事業を通じて、共通の願いを実現させる組織です。また、生協は生活を協同する組織です。
そうした協同組合の理念や原則を踏まえ、会員生協や構成組合員の意見を受止め、行政や関係諸団体との連携をはかりながら、会員生協とよりよい地域づくりに貢献する県連活動を推進していく決意です。
県連へのより一層のご支援ご鞭撻をお願い申し上げ、会長理事就任の挨拶とさせていただきます。
明けましておめでとうございます。
かつてない規模の被害をもたらした東日本大震災、そして一夜明けての栄村を中心とした長野県北部地震の発生から10ヶ月が経とうとしています。
原子力発電所の事故による放射性物質の汚染、住民避難は今尚、続いています。
あらためまして、被害にあわれた方々、ご親族や関係者の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
また、災害発生直後から県連会員生協の皆様が、全国の生協の仲間とともに被災地の支援活動に取り組み、現在も継続されておりますことに県連理事会として厚く御礼を申し上げます。
この超広域的な災害は高齢化や雇用の地域間格差、産業の空洞化、エネルギーと環境問題など、わが国が抱える様々な問題をも浮き彫りにしています。
現段階で、今回の災害に対して「評価や教訓」など、拙速になにかを語ることは本当に難しいと思います。更にその事を一層難しくしているのは、いまなお継続する地震、原発事故、風評問題など食の安全の問題も含めて被災された皆さんはもちろんのこと、私たちの「くらし」そのものが深刻な局面にあるからです。
このような中だからこそ、私たち生協は「思いやりと協同」の理念を高く掲げ「命とくらしを守る」生協活動の原点にたちかえり、地域のひとびととの協同、連帯に真正面から取り組まなければなりません。
更にはこれらの取り組みを通して生協が組合員の主体的運営を貫き組合員や地域住民の想いに応えることができているのかを常に問い直しつつ事業や組織のあり方を検証する必要があるとおもいます。
今年は国連総会が宣言した「国際協同組合年」の年です。宣言は今年を契機として協同組合の果たすべき社会的な役割についておおいに地域で支持と共感を広めること、又、持続可能な開発や貧困の根絶、都市と農村の様々な生計に貢献する事業体として協同組合の育成の促進などを政府に働きかけるなど、急速に変化する社会経済環境における協同組合の成長と持続可能性を高めるよう求めています。
これらを受けて長野県でも農協、生協、漁協、森連の四つ協同組合のほか十一団体で実行委員会を構成し活動が始まりました。
あらためて、県内での協同組合の価値と役割の発揮が極めて重要なものとなっています。
今年も県連、会員生協の組合員、役職員の知恵と力を寄せ合い、地域の人々と共に生協活動の輪を広げるため邁進してまいりましょう。
今後とも県生協連への変わらぬ御支援、御協力をお願いして、新年の挨拶とさせていただきます。
2012年1月1日
長野県生活協同組合連合会
会長理事 清水邦明
第60回通常総会の開会にあたり、理事会を代表しまして御挨拶申し上げます。本日は加藤副知事をはじめ、御来賓の皆様におかれましては、大変、御多忙のところ、私どもの総会への、ご臨席を賜り、この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。また、全県より多数の代議員の皆様のご参集、誠にありがとうございます。併せまして日頃より県生協連活動に対する皆様方の深い御理解と御協力に心より感謝申し上げます。
3月11日東日本大震災、翌12日、栄村を中心とした長野県北部の地震、私どもには、決して忘れることの出来ない大惨事が起きてから、すでに3カ月が経とうとしています。被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。一方、被災地の生協では、地震発生直後から、全国の生協の応援も得ながら、自らも被災し厳しい中、地域のくらしの復興にむけ、まさに「一人は万人のため万人は一人のため」の思いで、生協としての役割を担うべく日夜、奮闘し続けております。長野県内の各生協も募金活動をはじめ、支援物資の提供、被災地への人的な派遣等、全力で支援活動を続けています。改めまして、会員生協の、この間の御尽力に、深く敬意と感謝を申し上げます。
しかしながら、被災地では原発事故による放射性物質の汚染なども相まって、未だ多数の方が極めて厳しい避難生活を余儀なくされており、このままですと復興はかなりの長期化が懸念される事態です。県連理事会としましても、今後とも、皆様の御協力を得ながら、全国の生協の仲間と共に被災地のくらしの再建にむけて、中長期のわたる支援に全力で、当たりたいと考えています。
さて、わが国のくらしをめぐる課題はすでに震災以前から極めて深刻な事態におちいっていましたが、今回の未曾有の大震災により、更に厳しい事態となり地域経済や事業活動にも深刻な影響を与えています。また雇用や家計への不安、食の安全安心、食料自給力の課題、福祉、教育、医療など私たちの不安はつのるばかりです。
ただ、この様な事態が深刻化すればするほど、一方で思いやり、助け合いの、協同の理念に基づく事業や活動が再評価される機運が世界的にも高まっています。国連では来年2012年を「国際協同組合年」とすることも決まりました。この決定を受けて、先日、私ども県内の農業、森林、漁業、生協の4つの協同組合で構成する長野県協同組合連絡会では、来る7月7日に「国際協同組合年長野県実行委員会」の立ち上げを決め、来年の協同組合年にむけて県下での取り組みの準備をはじめました。
私たちが安心して暮らせる地域社会を実現していくためには、住民一人ひとりが力を寄せ合い、お互いに助け合うことで自分達のくらしを良くして行くのだという協同組合の存在価値とその社会的役割が、今ほど求められている時はないと思います。まさに「一人の百歩よりみんなの一歩」の協同の理念が大切です。この様な時だからこそ、一人だけで百歩進んでしまうのではなく、むしろ、歩みの遅い人にあわせて、たとえその歩みは遅くとも、みんなで着実に一歩ずつ進んでいくことが大切なのでは、ないでしょうか。
私共、理事会では昨年来、第11次の中期計画を本総会に向けて検討してまいりました。その基調は教育、研修活動を重視し、地域ごとに生協間の、事業や活動の、交流・連携をすすめること。また「消費生活条例」に引続き、「食の安全条例」の制定など、くらしに関わる諸課題や自然災害に備えるためにも県行政や諸団体と連携、更には地域単位の自治体や住民とのきめ細かな協同・連携の推進。また長野県農業協同組合をはじめとした協同組合間の提携推進、地域での様々なネットワーク活動との交流提携をめざすこととしました。理事会では、この第11次中計の実現にむけてこれからの3年間、会員生協と共にそれぞれの立場から各地域で協同の輪を広げ、生き生きとした地域再生に貢献できればと思っています。
最後になりましたが、本総会の各議案について皆様の活発な御論議をお願いし、会員生協の総意で今後の県連活動の一層の充実が計られることを御期待申し上げまして、私からの挨拶といたします。
明けましておめでとうございます。
今日世界は経済危機からの出口を模索しつつも、戦争と核の脅威、地球温暖化、食料需給の不安定化、貧困、飢餓など引き続き大きな問題解決に迫られています。一方、国内においても円高、デフレの進行により雇用や所得への不安、消費抑制と低価格競争のもと地域経済、消費の冷え込みが一段と進み、食の安全、医療福祉の問題なども含めて組合員のくらしと生協経営は一層厳しい局面にあります。
こうした情勢のもとで、今こそ、わたくしたち生協は「思いやりと協同」の理念を掲げ「平和とくらしを守る」生協活動の原点に立ち返り、地域の様々な人々や団体との協同、連帯に、真正面から取り組んでいかなければなりません。
そのためにも生協として、なによりも組合員の主体的運営を貫き、組合員要求に基づく事業改革を最優先し、地域での連帯を強めながら協同の絆による「助け合いのある街創り」をめざす必要があると思います。
又、国連では、2012年を「国際協同組合年」とすることを決定しています。大きな時代の転換期にあたり国際的にも協同組合への期待が高まる中で協同組合の価値と社会的役割の発揮が極めて重要なものになってきています。
今こそ県生協連に集う会員生協の組合員・役職員の知恵と力を寄せ合い生協運動の輪をひろげるために共に邁進してまいりましょう。
今年も県生協連への変わらぬ御支援、御協力をお願いして、新年の挨拶とさせていただきます。
2011年1月1日
長野県生活協同組合連合会
会長理事 清水邦明
明けましておめでとうございます。
この間の世界的な金融バブルの崩壊は私たち国民の生活を直撃しています。企業業績の悪化は雇用と家計への不安を招き消費者の購買意欲を低下させ生協事業にも深刻な影響を与えています。急激に進行する少子高齢化や社会保障制度等の先行きをめぐる不安は将来のくらしにも重く影を落としています。
しかし、このような事態を招いた背景である利己的な利益最優先、優勝劣敗の過度の市場原理主義は、当然行き詰まり、一方で思いやりや助け合いの協同の理念に基づく事業や活動が再評価される機運も高まっています。
私たちが安心して暮らせる地域社会を実現していくために、みんなの力を寄せ合い、お互いに助け合うことで自分たちのくらしを良くしていくのだという、協同組合の存在意義が今ほど求められている時はないと思います。
県内の生協ではくらしの安全安心を求める取り組みが地域の様々な皆さんとの「協同」の取り組みをとおして広がっています。
2010年という節目の今年、県生協連にとっては第10次中計の最終年、仕上げの年であり新たな中計策定の重要な年でもあります。あらためて県連役職員、会員生協が共にそれぞれの立場から地域での交流と協同の輪を一層広げ、生き生きとした地域の再生にむけて、期待される役割を担えられるよう、本年も皆様と共に頑張っていきたいと思っています。
今年もよろしくお願いいたします。
会長理事 清水邦明
昨年度、私ども長野県生協連は、大きな節目の年である創立60周年を、皆様方の温かいご支援とご協力の中で迎えることができました。更に永年、県消団連と共に条例化に取り組んできた「長野県消費生活条例」は県を始めとして県議会の皆さまや関係諸団体のご理解とご支援により今年1月1日から施行されました。この条例制定は県民自身の要求に基づく安心な消費生活実現への画期的な取り組みとして社会的にも評価されました。
この歴史的な節目の一年を教訓に、県民が安全で安心して暮らせるよう、それぞれの分野、そして地域での協同互助の活動を皆さんと共に深めてまいりたいと理事会としても決意を新たしているところでございます。
さて、この間の、米国のサブプライムローンの焦げつきに始まる深刻な経済危機が日本をふくむ世界全体の「大不況」へと拡大しています。国内ではこの不況が国民の生活を直撃しています。この間の社会保障費の負担増や年収の減少等で家計への負担は増大するばかりです。更に雇用契約打ち切りで生存権を脅かされ、生命の重みを軽く扱われる事態には憤りを感じます。
今こそ、国民生活の安心安全を確保する社会システムの確立は緊急の課題となっています。このような情勢のもとで、組合員の命と暮らしを守り食の安全、消費者政策、環境、福祉、教育、子育て、平和の問題など多岐にわたって活動をすすめている、私たち生協の果たすべき役割は、一層大きくなっています。
県連傘下の生協活動は今年3月末で会員生協は20生協、組合員数は38万5000人、事業高は567億円に到達しようとしています。県生協連としては09年度、2年目をむかえる第10次中期計画の柱である、「会員生協への活動の支援、交流連帯の促進」「行政への働きかけと連携」「地域の社会的役割への貢献」の3つの柱を推進しつつ、とりわけ今年は、会員生協に一層役立つ県連活動を目指し、消費者行政について、暮らしの安全を確保するための、社会システム確立にむけた取り組みを強め、県民の生協活動への理解と共感を広げられるよう広報活動の充実に努めていきたいと考えています。
引続き、組合員の自主的活動を通して互助共助の力を基本に、地域の人たちと協力し合って生協に求められる社会的責務を全うしていきたいと思います。
今後とも皆さまの県生協連への変わらぬご支援ご協力をお願い申し上げます。(清水)
世界規模で進行する経済危機への対応が緊急課題となり、環境、資源、貧困、飢餓、平和等の問題が一層深刻になってきています。国内においても経済不況がさらに進む中での雇用や家計の不安、医療、福祉や教育、消費者被害、食への不安、食料自給率等の暮らしを取り巻く問題が切実です。また、地域はもとより、家族におけるセイフティーネットすら崩壊しつつあり、我々の予想を、はるかに超える厳しい状況です。
今、直面しているこの深刻な事態は、どれ一つとっても一個人一組織だけの取り組みで解決できるような状況にはありません。大変な時期ですが、逆に今は、私たち自身で助け合いのネットワークをつくる絶好のチャンスだと思います。
私は、このネットワークづくりの際に、より多くの人との「かかわりあい」を支える基本的な意識で一番大切なことは、一言で言えば、他人に対する「気配り」や「配慮」だと思います。一人ひとりを大切にするということです。人と人との「心の配りあい」が暖かなネットワークを育むことになると思います。より多くの人とのネットワークをつくるために、この間生協活動で培ってきた組合員同士の信頼の絆を更に広げる、この「優しさのコミュニケーション」が、大切ではないでしょうか。(清水)
明けまして おめでとうございます
昨年ほど私達の毎日のくらしの安全、安心を揺るがす出来事が多発した年はなかったと思います。生協としても自ら開発しているコープ商品での中毒事件をはじめ原料、産地の偽装等が相次ぎ食の安全に対する社会的な責任があらためて問われた一年でした。
今年も引き続き生協の今日直面している「信頼の危機」を最重要の課題として捉え、先ずは生協への信頼の再構築を急がなければならないと考えます。
一方で、地域や家族でのセイフティーネットがことごとく崩壊しつつある今日、まさに協同組合の「一人は万人のために 万人は一人のために」「一人の百歩より みんなの一歩」の理念こそが、安全安心な社会を創造する基本的な考え方だと思います。
この基本理念に基づく地域でのネットワークづくりが、生き生きとした豊かな暮らしづくりのベースになるのではないかと思います。
今日、私達のくらしをめぐる深刻な事態を克服するには、生協だけでの単独の取り組みではもはや解決できるような状況ではなくなってきています。
あらためてこの間生協が培ってきた人と人のつながり、信頼の絆をさらに広げ、牛歩の如くゆっくりと、しかし着実に地域に根ざした「豊かなくらしの創造」に努めたいと考えます。(清水)
長野県の生協活動は、60年前に県連設立当初の組合員数5万人というところから出発し、今では会員数21生協、組合員数約37万人、事業高では580億円になろうとしています。
この間、県連活動として幾多の困難に遭遇しつつも、なんとかこの良き日を迎えることが出来ました。これもひとえに、県内各地域で日頃から生協活動を支えていただいている組合員をはじめとした皆様方の、あたたかなご支援とご協力の賜物であり深く感謝申し上げます。あわせて、この栄えある伝統を積み重ねてこられた歴代役職員、諸先輩方のご努力にも心から敬意を表します。
さて、一言で60年といってもこの年月には大変なものがあります。先輩方が歩んでこられた貴重な足跡を私如きが、軽々に語るわけにはいきませんが、私が直接県連の活動と関わるようになった範囲で述べますと、今から、ちょうど30年前の1978年、当時の長野生協の経営再建が最初の契機でした。その直後に、支援元である飯田生協の経営破たんも体験する中での、大変厳しい再建活動でした。
「地域に生協の火を消してはならない」といった、当時の組合員の切実な願いを受け止めた県連理事会の強いリーダシップのもとに、日本生協連はもとより県連傘下の職域、医療、大学などの業種の異なる生協も一致団結して組織を挙げての支援が実現し、この経営危機を乗り越えることができたのを昨日の事のように思い出します。
その後、今日まで県連活動を通してわたくしが学んだことは、文字通りの「連帯と協同」の大切さです。どんな時でも「一人の百歩より、みんなの一歩」を大事に、一方的な私の都合、組織の都合ではなく、組合員のために地域の生活者のためにということと、生協の社会的役割である「平和で豊かなくらしの実現」にむけて、より多くの人と共にすすめる事が大切なのだということを、この間の活動の中から学ばせて頂きました。
本年は生協法施行60周年でもあり、昨年改正された新生協法施行の初年度という大変意義ある年でもあります。一方で、私達国民のくらしをめぐる状況はきわめて厳しくなっています。
県民一人ひとりが真に平和で人間らしく心豊かなくらしができるようにすることと、持続可能な地域社会の実現が今ほど切実に求められている時はありません。
わたしども県生協連としましても、この歴史的な節目を契機に、会員生協はもとより組合員お一人おひとりと、もっとしっかり向き合い、地域の皆様方とのコミュニケーションを一層深め、各地域での「心の通った助け合いと協同の街づくり」に少しでも貢献できればと思っております。今後も変わらぬご支援をよろしくお願い致します。(清水)
本年は県連創立60周年に当り、10月30日には記念式典、来年1月には記念講演会が計画されています。合わせて現在、米原俊夫前会長(現、名誉会長)を編集責任者に60周年記念誌の作成が進んでいます。この間、清水会長、米原名誉会長、大熊通夫顧問による座談会、木村輝夫顧問のインタビューも終了し、初回の入稿を終えました。
座談会、インタビューに同席する中で、当時の様々なエピソードと共に多くのことを学ぶことができました。記念誌の発行に先立ってそのさわりとして、私が学んだことのいくつかをお伝えします。
歴史の教訓 その1 「嵐(経営難)が組織と人を鍛えた」
長野生協、飯田生協の経営不振とその再建時期(1978年前後)は県連60年の歴史の転換期ですが、一連の経営再建は関係者のまさに命を賭したご努力で成し遂げられました。
「何としても飯田生協はつぶせない。これをつぶしたら単なる一単協の問題ではなくて、生協運動全体、特に長野県なんかは決定的な打撃を受ける」という木村顧問の言葉は大変印象的でした。そうした認識が多くの生協人の不眠不休の活動を生み出し、経営再建を成し遂げると共に、県内生協の結合体としての県生協連の強固な団結力を生み出しました。また、その経験が、その後10次に渡る県連中期計画に基づく戦略的な地域生協づくり、健全経営を保障する外部監査の早期導入、拠点生協づくりへとつながり、さらに、苦楽を共にした経験が拠点生協づくりでのお互いの違いや対抗意識を乗り越えた大同団結を実現させました。
歴史の教訓 その2 「人材育成が組織を発展させる」
大熊顧問は県内連帯の話題の中で、早い時期から海外の生協を視察して視野を広げられたこと、宮城県の連帯状況をみんなで学んだことなどを語られ、人材育成の重要性を強調されました。また、木村顧問からは経営再建の中で、「店舗経営などものすごい勉強をさせられた」と語られました。私たちは、先輩諸兄の足跡をきちんと後に続く人たちに伝えると共に、次代の生協を担う人材を育てていけなければいけないと痛感しました。
歴史の教訓 その3 「会員生協を支える県連の役割」
木村顧問は「飯田の経験から、県連が常勤体制を組み、平素、単協に飛んで行っちゃあチェックするとか助言をすることが大事だとわかった」と語っています。確かに80年代から90年代のかけて、県連は会員生協の結集のもとにそうした機能を果たしてきました。今日の会員生協を取り巻くきびしい環境をみるにつけ、県連事務局に課せられた責務に身の引き締まる思いがしています。自らの非力さを感じながら、会員生協に果たす県連の役割を再認識しています。
今回の座談会とインタビューを通じて、私達の知らなかった事実や当時の関係者の思いをたくさん知ることができました。生協連の歴史は長野県の生協の歴史であり、それは関った専従役職員、組合員の歴史です。先人の「夢とロマン」、それに伴った苦労を、これからの生協活動に遺伝子として残していくことが今回の60周年事業の役割です。(小松)
この間、食料自給率の向上が急務だとする声が高まっている。この課題を解決するのは一朝一夕では極めて難しい。農業そのものの再生に向けて取り組むのは当然のことではあるが、一方でこのような事態を招いた要因に、私達の食生活が戦後大きく欧米化したことが上げられる。とりわけ、戦後のアメリカによる占領政策で、わが国における学校現場での、米国製小麦粉と粉ミルク(脱脂粉乳)の普及を背景にしたパンとミルクの完全給食の推進により、従来の米飯を中心とした和食から、パン・肉食を中心の洋食へと数十年を経て大きく変えてしまった。私達の食生活への影響は大きいと思う。
このような状況下で、今、学校給食法が半世紀ぶりに見直されようとしている。この動きの中では、学校給食の目的が当時の「栄養改善」から「食育」へと大きく転換されようとしている。大いに注目をしたいと思う。
私は、今こそ、これから未来を背負っていく現在の子供たちの食生活を、かつてがそうであったように学校給食を軸に中長期の視点で見直しを図っていく必要があると思う。このことを通して、私達の食生活全般が見直され、結果として自給率アップにつながるようにもっていけないのかと考えている。具体的には、今回の学校給食法改正を受けて、現在の県内での米飯給食、週当たり3回(全国2.9回)の水準を更にもう1回増すことが出来ないものか思う。
実は、この学校給食の米食推進は単に米の利用が増えるだけでなく、それに伴ってパン食を中心とした洋食化から、米飯を中心とした給食全体の和風化がすすめられ、新鮮な野菜の利用にもつながり、惹いては給食のおかずが地場農産物の積極的な利用や郷土食へと広がっていく可能性をも秘めている。
全国の学校が一斉にそのことを追求すれば、直ぐにでも米の消費は一気に高まり、副食としての野菜の利用も大きく伸びるはずである。もしこれが実現できれば、中長期での自給率アップには極めて大きな効果がある。
また子供たちは、地域にどんな美味しい農産物や郷土料理があるのか、どの時期どんな作物をどんな方法で食べれば一番おいしいのかを理屈抜きに学べることができ、体験もでき、まさに本来の食育の場にもなると思う。さらに、この活動を親子、生産者、先生方や、そこに暮らす地域の人と一緒になって進めながら食生活全般を見直し、生産、流通、消費の地域内の循環が高まっていくようになれば、こんな良いことはない。
自給率向上を、長期的視野に立って私達自身の食生活のあり方、とりわけ子供たちの食生活や学校給食の見直し活動を、みんなで考えてみることが大事ではないかと思っている。
その意味でも食育の分野での生協の果す役割が極めて大事ではないかと思う。(清水)