生活・自然・まちづくり。感じた想いを綴ります。
この間、食料自給率の向上が急務だとする声が高まっている。この課題を解決するのは一朝一夕では極めて難しい。農業そのものの再生に向けて取り組むのは当然のことではあるが、一方でこのような事態を招いた要因に、私達の食生活が戦後大きく欧米化したことが上げられる。とりわけ、戦後のアメリカによる占領政策で、わが国における学校現場での、米国製小麦粉と粉ミルク(脱脂粉乳)の普及を背景にしたパンとミルクの完全給食の推進により、従来の米飯を中心とした和食から、パン・肉食を中心の洋食へと数十年を経て大きく変えてしまった。私達の食生活への影響は大きいと思う。
このような状況下で、今、学校給食法が半世紀ぶりに見直されようとしている。この動きの中では、学校給食の目的が当時の「栄養改善」から「食育」へと大きく転換されようとしている。大いに注目をしたいと思う。
私は、今こそ、これから未来を背負っていく現在の子供たちの食生活を、かつてがそうであったように学校給食を軸に中長期の視点で見直しを図っていく必要があると思う。このことを通して、私達の食生活全般が見直され、結果として自給率アップにつながるようにもっていけないのかと考えている。具体的には、今回の学校給食法改正を受けて、現在の県内での米飯給食、週当たり3回(全国2.9回)の水準を更にもう1回増すことが出来ないものか思う。
実は、この学校給食の米食推進は単に米の利用が増えるだけでなく、それに伴ってパン食を中心とした洋食化から、米飯を中心とした給食全体の和風化がすすめられ、新鮮な野菜の利用にもつながり、惹いては給食のおかずが地場農産物の積極的な利用や郷土食へと広がっていく可能性をも秘めている。
全国の学校が一斉にそのことを追求すれば、直ぐにでも米の消費は一気に高まり、副食としての野菜の利用も大きく伸びるはずである。もしこれが実現できれば、中長期での自給率アップには極めて大きな効果がある。
また子供たちは、地域にどんな美味しい農産物や郷土料理があるのか、どの時期どんな作物をどんな方法で食べれば一番おいしいのかを理屈抜きに学べることができ、体験もでき、まさに本来の食育の場にもなると思う。さらに、この活動を親子、生産者、先生方や、そこに暮らす地域の人と一緒になって進めながら食生活全般を見直し、生産、流通、消費の地域内の循環が高まっていくようになれば、こんな良いことはない。
自給率向上を、長期的視野に立って私達自身の食生活のあり方、とりわけ子供たちの食生活や学校給食の見直し活動を、みんなで考えてみることが大事ではないかと思っている。
その意味でも食育の分野での生協の果す役割が極めて大事ではないかと思う。(清水)