長野県内の生協のさまざまな活動・事業を紹介します。

活動報告

長野県労福協と共催で奨学金問題セミナーを開催

長野県生協連と長野県労働者福祉協議会が共催して2018年2月17日(土)、信州大学工学部内の信州大学国際科学イノベーションセンターにおいて、「奨学金問題セミナー」を開催し、関係団体役職員や地域の方々を含めて、38名の参加がありました。

県労福協の小山常務理事の司会進行で始まり、冒頭、中山千弘県労福協理事長より主催者を代表して挨拶がありました。

講演では、中京大学国際教養学部教授の大内裕和氏より、「若者の格差と貧困―奨学金問題から考える」と題してお話いただきました。2011年11月に奨学金問題が新聞紙上に大きく取り上げられて以降、今日まで新聞・テレビ・ラジオ・週刊誌などの取材を受けない週は一度もないほど、この奨学金の問題が社会的に大きな影響を持っている。奨学金制度実情への理解・大学の学費の高騰への理解・学生バイトの現状など世代間での誤解とギャップが大きくて共通認識にならない事実などを話されました。また、この奨学金返済の負担による若者の「結婚」「出産」「子育て」への大きな障害になっている現状が、まだまだ一般に広く認識されていない状況など分かりやすく話されました。

現在50%以上の学生が奨学金を利用して大学に進学していることを考えると、現代社会が抱えるもっとも大きな課題、少子高齢化社会への大きな原因の一つにもなっていることが明確であり、それだけにこの問題を広く知らせ、共通の認識にする必要があるとのことでした。また、奨学金問題がマスコミの報道を含めて徐々に社会に認知される中で、中央労働者福祉協議会の署名が303万筆以上あつめられ、2018年4月から給付型奨学金の本格導入につながりました。まだまだ規模が小さく問題の解決には程遠い現状ですが、これからの取り組みの中でもっともっと給付型奨学金を大きく育てることが若者の格差と貧困の解決に大きくつながると話されました。財源の確保にも触れられ、実現不可能な問題ではないことも併せて、今後の継続した学習や取り組みの重要性を話されました。

その後、全国大学生活協同組合連合会の前学生委員長の升本有紀さんから、「学生生活実態調査と学生向け奨学金アンケートの結果より見える事」と題して報告がありました。大学生協の活動紹介の後、調査結果から見えてくる学生の生活実態や奨学金を利用している学生のバイト率が高いこと、奨学金を利用している学生が将来の返済に大きな不安を抱えている現状などを報告されました。

会場では大内教授の関連著書の販売も盛況で、サイン会も行われました。最後に、長野県生活協同組合連合会の上田均会長理事より閉会の挨拶があり、閉会となりました。